Dリーグ21−22をデータからみてみる
DリーグFAN【A】では、色々な観点でDリーグについて書いていく予定です。
今回は、Dリーグ21−22シーズンでのジャッジポイント、オーディエンスポイントの過去データを深掘ってみたいとおもいます。(ダンスパフォーマンスについては、一切触れておりません)
なおこの記事は、あくまでひとりのDリーグファン目線、FAN【A】目線での独断と偏見に基づく記事ですので、この点あしからずご了承ください。
データは全てDリーグ公式結果に基づきます。
Dリーグ21−22 ルールはどういうものだった?
まずはDリーグ21−22ルールの確認から。*1
基本的には4ステップで、得点とCSP(勝ち点、チャンピオンシップポイントの略)が決まります。↓
- ジャッジとオーディエンスがそれぞれポイントをつける(ジャッジ分を「ジャッジポイント」、オーディエンス分を「オーディエンスポイント」と呼ぶ)
- ジャッジポイント(最高80点)とオーディエンスポイント(最高20点)の合計値である「得点」(最高100点)で、そのラウンドの順位が決まる
- 順位でCSP(チャンピオンシップポイントの略)が決まる
- 12ラウンド分のCSPの合計値で、シーズン順位が決まる
絵心がなくて恥ずかしいですが、流れを図で示したのが以下です。
シーズン最後に開催されるチャンピオンシップには、合計CSPでの上位4チームに加えて、「ワイルドカード枠」として、ジャッジポイントで一番順位の高かったチームと、オーディエンスポイントで一番順位の高かったチームの合計6チームが、進出します。
(この記事ではチャンピオンシップについては触れません)
Dリーグ21−22 全12ラウンドの結果はどうだった?
さて、ではDリーグ21−22の結果をみていきましょう。
その前にシーズン21−22の数字を見る上で一個、注意点があります。
それはラウンド6でコロナの影響で3チーム(avex ROYALBRATS、dip BATTLES、KADOKAWA DREAMS)が欠場したこと。欠場の場合、CSPは1点しかつきませんので、この3チームはラウンド6で大きく失速しています。
それをふまえて、まずは合計CSPの各チームの結果です。
まず■LUXと■RAISERZが他よりも頭ひとつぬきんでて目立ちます。シーズン頭はLUXが1位を独走し、途中からRAISERZが奪還するもラウンド9以降再びLUXが1位のまま最後まで逃げ切ります。
2番手のダンゴには、■8ROCKS、■ROYALBRATS、■DREAMSが続きます。ここで目立つのはコロナで欠場して以降のROYALBRATSの猛烈な追い上げで、DREAMSをラウンド10で抜いて4位となり、8ROCKSとともにチャンピオンシップに進む権利をゲットしています。
6位以下では、■RAPTURESがシーズンはじめから抜きんでており、続いて■BATTLESと■LEGITが猛追していました。
12ラウンドを終えてみれば、以下チームがチャンピオンシップに進む事を決めています。
- 1位:SEGA SAMMY LUX
- 2位:FULLCAST RAISERZ
- 3位:KOSE 8ROCKS
- 4位:avex ROYALBRATS
- ワイルドカード(ジャッジポイント枠):Septeni RAPTURES(総合6位)
- ワイルドカード(オーディエンスポイント枠):dip BATTLES(総合7位)
ワイルドカード枠というくらいなので、単純な順位という枠ではないのですが、DREAMSはチャンピオンシップに進めません。
しかし、とりわけオーディエンスポイントのあり方について、少なからず異論は以前からあったようです。なので、実際データとしてはどうだったのか、掘り下げてみました。
Dリーグ21−22 得点の分析
ではここから、CSPを決めるラウンド別の得点について深掘りしてみましょう。
ラウンド別の得点
前半高い得点を平均的に叩き出してたのは■RAISERZ。
後半、■ROYALBRATS、■DREAMS、■LUXもこの上位争いに加わります。
*なおさっきも書いたとおり、ラウンド6ではROYALBRATS、DREAMS、BATTLESが欠場しているので、スコアはありません。
平均得点でみた順位は以下の通りです。
※Round6でコロナ欠場したDREAMS、ROYALBRATS、BATTLESは、実力値を明確にするために、11試合分で平均値を計算しています。
平均得点でみると、LUX, RAISERZ, ROYALBRATS, DREAMS, 8ROCKSまでがダンゴ状態で、5位の8ROCKSと6位のRAPTURESとは5ポイントほどの差があり、大きなギャップがあることに気づかされます。
ここからさらに、ジャッジポイントとオーディエンスポイントにわけてみていきましょう。
ジャッジポイントでみるDリーグ21−22
まずジャッジポイントから。
ジャッジポイントだけでみると違う側面が見えてきます。
とくに、チャンピオンシップに進んでいない■DREAMSが、ジャッジポイントの1位を計5回もとっているのが目立ちます。ジャッジポイントで1位を5回とっているチームは他に■LUXしかおらず、計12ラウンドのなかでこの2チームいずれか9ラウンド(Round1はLUXとDREAMSが同点)も1位を取っていることになります。
これはかなり驚異的ではないでしょうか?
ちなみに残り3回は、■RAISERZが2回(Round3、Round11)、■8ROCKS(Round6)、それぞれ1位をとりました。
平均値でみると以下の通りです。
Round6でコロナ欠場したDREAMS、ROYALBRATS、BATTLESは、実力値を明確にするために、11試合分で平均値を計算しています。
こうしてみてもやはり、DREAMSが2位となっており、非常に高い実力のチームであることがうかがわれます。
ワイルドカード枠(オーディエンスポイントで次点)でチャンピオンシップに進んだBATTLESは意外にも、ジャッジポイントでは10位です。
オーディエンスポイントでみるDリーグ21−22
次に、オーディエンスポイントをみてみましょう。
前半は■RAISERZが独走の体を示しています(Round3〜6)。
コロナで■ROYALBRATS、■DREAMS、■BATTLESが欠場したRound6のあと、動きが変わります。ROYALBRATSと■LUXが1位をせめぎ合う形となり、RAISERZが3番手になります。
また、ワイルドカード枠を確保したBATTLESはRound11-12にかけて躍進しています。
同様にDREAMS、■I'MOONもRound12に跳ね上がっています...が、Round11から高ポイントを確保できたBATTLESがワイルドカード枠を勝ち取りました。
平均点でみるとこのような形です。
先ほどのジャッジポイントと同様、Round6でコロナ欠場したDREAMS、ROYALBRATS、BATTLESは、実力値を明確にするために11試合分で平均値を計算しています。
ジャッジポイントとオーディエンスポイントの開きをみる
オーディエンスポイントという仕組みが21−22シーズンどのように機能していたのかみるためには、【オーディエンスポイントの順位】と【ジャッジポイントの順位】の差分を比較してみるのがよさそうです。(この二つがかけ離れている場合、ジャッジの評価とオーディエンスの評価が全然ズレていることになるので)
ということで、全12ラウンドの得点合計を、ジャッジポイントとオーディエンスポイントに分けて、各チームの順位をつけてみます。
まずはジャッジポイントの順位です。
続いて、オーディエンスポイントの順位です。
ジャッジポイント順位と比べて、オーディエンスポイントの順位にどのくらいの差があったのかも表記してみました。
表の見方ですが、たとえばRAISERZの場合、ジャッジポイントの順位では2位でしたが、オーディエンスポイントの順位では1位だったので、「ジャッジ順位との差分」は1位となります。SEGA SAMMY LUXの場合、ジャッジポイントの順位は1位でしたが、オーディエンスポイント順位は2位だったので、「ジャッジ順位との差分」はマイナス1位となります。
下表がオーディエンスポイントの順位です。
とくにavex ROYALBRATSと、dip BATTLESのオーディエンスポイントの集まり方が際立ってます。
ジャッジポイントではROYALBRATSは(意外にも)9位→オーディエンス3位、新規参入のdip BATTLESはジャッジ11位→オーディエンス5位と、圧倒的にギャップが大きいです。
一方RAPTURES、MONOLIZ、Legit、ALT-RHYTHMでは、ジャッジポイントとオーディエンスポイントでマイナス3位以上の開きがありました。
CSPとワイルドカード枠によるチャンピオンシップ出場チームの決定
ジャッジポイント、オーディエンスポイントを総合した結果、チャンピオンシップポイント(CSP)では以下の注目すべき事象が起きました。
- Round6を欠場したためにジャッジポイントで下位だったROYALBRATSがCSPでは上位4位に食い込んだ
- 新規参入したBATTLESがオーディエンスポイント順位で、RAPTURESがジャッジポイント順位で、それぞれワイルドカード枠でチャンピオンシップへ進んだ
- CSPでは5位だったDREAMSが、チャンピオンシップに進めなかった
特に、ジャッジポイントで1位を5回も獲っているDREAMSは明らかに実力あるチームなので、コロナ欠場がなければ...と思ってしまいます。(それをいったらはじまりませんが)
*欠場するとCSPは1点獲得できますが、ジャッジポイント、オーディエンスポイントともに0点となってしまいます。この影響をROYALBRATS、BATTLES、DREAMSは受けました。
Dリーグのオーディエンスポイントのあり方を考える
Dリーグではないたとえ話で考えてみます。
オーディエンス投票方式のダンスバトルで、片方のダンサーがファンを大量に会場内につれてきます。そのダンサーは、明らかにパフォーマンスとしては負けているのに、会場に大量に連れてきた固定ファン票で勝ってしまったら、それって理想の状態でしょうか?バトルそのものの面白さを損なっていないでしょうか?
オーディエンス投票方式は、ダンスカルチャーのバトルを再現したいという運営側の想いに基づくものとおもいますし、目指す方向性として共感します。
Dリーグとしてはもちろん課題を認識して試行錯誤してると信じていますし、22−23シーズンのルール変更はこれに対応しようとしたものでしょう。
特定のチームだけが、過度にオーディエンスポイントの恩恵をうけるような状況は、Dリーグを全体的にはつまらなくしてしまうと思います。
なので、オーディエンスポイントの仕組みは残しつつ、その「強さ」を調整していくのがよいのではと考えています。
プロリーグとして前例のないチャレンジ
野球、サッカー、バスケなど、他のスポーツのプロリーグに目を向けると、オーディエンスによる評価をとりいれている前例はありません。
つまりDリーグは、凄くチャレンジングな事をしていると思います。
一発でうまくいくことなどあるわけないので、色々なトライを続けていって欲しいですね。22−23シーズンのルール変更がどう改善につながるかは、このあとのラウンドをみていけば徐々に見えてくるでしょう。
Dリーグ22−23シーズンのデータが揃ってきたら、続編を書いてみたいと思います!